一方の伊藤健太郎もまた、失意の底から這い上がり、俳優としての新たな地平を切り拓いている。不祥事によるブランクを埋めるべく、泥臭く演劇の舞台に立ち続け、地道に信頼を回復してきた彼の演技には、過去にはなかった重みと凄みが加わった。
近年ではNetflixをはじめとする世界的配信プラットフォームの話題作や、骨太な映画作品への出演が相次ぎ、実力派バイプレイヤーおよび主演俳優として完全復活を印象づけている。かつての華やかな若手スターから、酸いも甘いも噛み分けた円熟の表現者へ。背負った十字架の重さを演技の深みへと昇華させた彼の姿は、業界内でも高く再評価されている。
過去の傷跡を消し去ることはできない。だが、それを糧にして前に進む彼の眼差しには、役者として生き抜く揺るぎない覚悟が宿っている。