「遠くへ行きたい」の魅力は、ヘビーな歌詞内容とは対照的な軽快で性急なガレージ・フォーク・パンクサウンドにあります。曲全体の構成は非常にミニマルでありながら、感情の起伏をダイレクトに伝える設計がなされています。
ギタープレイの観点から見ると、andymori「遠くへ行きたい」のギターコードは主にG、C、D、Emなどの開放弦を活かしたローコード主体のシンプルなコードプログレッションで構成されています。アコースティックギターのストロークを軸にしたフォークソング的な親しみやすさを持ちながら、後藤大樹の叩き出す躍動的なドラムと藤原寛のドライヴするベースラインが加わることで、前のめりなパンクロックの疾走感へと昇華されます。
絶望や諦念を歌いながらも、サウンドは立ち止まることなく先へ先へと走り抜けていく。この「止まらないビート」と「逃れられない現実」のせめぎ合いこそが、聴き手に強烈なカタルシスをもたらす要因です。小山田壮平の弾き語りによる「遠くへ行きたい」では、バンドセットとは異なる剥き出しの詩情と哀愁が際立ち、コード一本の響きに込められた祈りの深さがよりダイレクトに伝わってきます。