1981年、映画『青春の門』。当時20歳だった佐藤浩市は、主人公・伊吹信介役で本格的な映画デビューを果たした。オーディションを勝ち抜いて掴んだこの大役で、彼は日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。スクリーンに映し出されたのは、未完成ゆえの青々しさと、他を圧倒する眼力の強さだった。
昭和の匂いが色濃く残る映画撮影現場。ベテラン俳優たちがひしめく中で、物怖じするどころか、ギラギラとした野生味を全身から撒き散らしていた。カメラが回った瞬間に見せる独特の間と、低く響く声。ただそこに立つだけで画面の温度が上がるような凄みは、すでに大物の器を感じさせるのに十分だった。
当時の映画関係者は語る。「生意気で、尖っていて、でも最高に美しかった」。アイドルのような爽やかさとは一線を画す、どこか影のある表情に、当時の若者たちは熱狂した。