妊娠9週を迎える妊婦の間で、検診前のパニックを引き起こしやすいのが「急につわりが軽くなった」「胸の張りが消えた」という体調の変化です。「つわりのピークは9週〜10週」と育児書などに記載されていることが多いため、症状が和らぐと「お腹の中で何かが起きたのではないか」と疑ってしまう方が後を絶ちません。
しかし、妊娠9週につわりがなくなる、あるいは波のように軽くなる現象は医学的に珍しくありません。つわりを引き起こす主因とされるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の分泌量は妊娠8〜10週頃にピークを迎えますが、母体側のホルモン受容体の感受性や適応力には個人差があります。急激なホルモン上昇に体が慣れて吐き気が落ち着くケースや、日内変動で数日だけ体調が良くなることは日常茶飯事です。
また、「妊娠初期に基礎体温が下がる」ことへの不安も同様です。妊娠初期を維持するプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌により高温期が続きますが、測定誤差や自律神経の乱れ、あるいは妊娠9〜10週頃から胎盤へのホルモン産生移行に伴って体温の微小な変動が起こることは自然な生理現象です。基礎体温表の上下に一喜一憂し、過剰なストレスを抱え込む必要はありません。