石垣の最頂部にちょこんと佇む天守は、全国にわずか12基しか残っていない江戸時代以前からの現存木造天守のひとつである。高さ約15メートル。三重三階のその規模は、現存天守の中で最も小ぶりだ。
しかし、規模の小ささゆえの緻密な造形美がここにはある。唐破風や千鳥破風を効果的に配置した外観は、小規模ながらも城主・京極家の威厳を周囲に知らしめるに十分な気品を漂わせる。内部に入れば、地松を用いた極太の柱や梁がむき出しになり、400年の時を耐え抜いてきた木材の力強い香りが漂う。万治3年(1660年)に完成したこの天守は、明治の廃城令や第二次世界大戦の空襲という幾多の試練を潜り抜け、奇跡的に現代へとその姿を留めた。