「高収入・高学歴・高身長」が婚姻の黄金律として崇められたのは、1980年代後半のバブル経済期にさかのぼる。経済成長が右肩上がりを続け、終身雇用制度が強固だった時代、男の価値はスペックで直感的に測られていた。社会的地位と十分な購買力を示す指標として、この3要素は強い効力を持っていたのである。
しかし、バブル崩壊後の長引く低迷期を経て、日本の社会構造は根本から変化した。現代社会学の視点からも、結婚に対する期待値の変容が指摘されている。固定的な性別役割分担が瓦解し、個人の生き方が尊重されるにつれ、従来の評価軸はリアリティを失っていった。
過去の成功体験に縛られた旧来の結婚観は、多様化する現代の生活様式と擦れ違いを生んでいる。かつてのアイコンが力を失った背景には、経済的な要因だけでなく、個人主義の成熟と多様な幸福観の定着が存在している。