平均値を下回っていると判明した際、多くの親が「自分の食生活の管理が悪かったのではないか」「寝かしつけの時間が遅いせいかもしれない」と自身を責めてしまいがちです。しかし、2歳半前後の身長発育には複数の複合要因が介在しています。
臨床的に確認されている主な背景要因は以下の4点に大別されます。
- 遺伝的素因(体質性低身長):両親または祖父母の背が小柄である場合、遺伝的特徴を受け継いでいるケースが圧倒的多数を占めます。小児医療では両親の身長から計算する「標的身長(Target Height)」をひとつの参考指標としますが、体質的に成長のピークが思春期以降に遅れてやってくる「晩熟タイプ」も珍しくありません。
- 測定誤差と測定環境の難しさ:2歳半児の身長測定は極めて難易度が高い作業です。イヤイヤ期の真っ只中で測定器の上で背筋をまっすぐ伸ばせなかったり、頭部が微妙に傾いていたりするだけで、1〜2cm程度の誤差は容易に生じます。直近の1回だけで「急激に止まった」と断定するのは早計です。
- SGA(Small-for-Gestational-Age)児のキャッチアップ遅延:出生時の体重や身長が在胎週数に対して相当小さく生まれた場合、多くは2〜3歳までに急激に伸びて追いつきます(キャッチアップ現象)。しかし、全体の約10%前後は追いつきが緩やかで、2歳半の段階でも小柄なまま推移することがあります。
- 内分泌系や内科的疾患の影響:頻度としては低いものの、成長ホルモンの分泌不足、甲状腺ホルモンの低下、軟骨の骨化異常、あるいは慢性の消化器疾患や腎疾患などが潜んでいるケースも存在します。
食事の好き嫌いや多少の夜更かしが気になる年頃ですが、極端な低栄養や飢餓状態でない限り、生活習慣の乱れだけで身長の伸びが完全に止まることは考えにくいと小児科医は指摘します。根本的な身体のプログラムや体質が色濃く反映される時期だからこそ、過剰な自責の念を抱く必要はありません。