国民的名曲となった『サライ』ですが、その制作経緯は日本のテレビ史でも稀に見る大胆な挑戦から始まりました。誕生したのは1992年8月の『第15回 24時間テレビ』です。番組のリニューアルに伴い、「視聴者と共に新しいテーマソングを作る」という前代未聞のプロジェクトが立ち上がりました。
制作の中心となったのは、シンガーソングライターの谷村新司氏(作詞)と、弾厚作名義で作曲を担当した加山雄三氏です。番組放送中の24時間以内に全国の視聴者から寄せられたFAXや手紙に目を通し、そこに綴られた「家族」「故郷」「愛」にまつわる無数の言葉を谷村氏が紡ぎ出していきました。
加山氏が即興で美しい旋律を立ち上げ、谷村氏が膨大な言葉の断片をひとつの詩へ昇華させる作業は徹夜で行われました。当時の制作ドキュメンタリーや関係者の証言によると、スタジオには数千通を超えるFAXが溢れ返り、視聴者の切実な人生の告白や故郷への想いが凝縮されていたといいます。そして番組のフィナーレ直前、ついに完成した『サライ』が武道館で初披露され、日本中へ感動の渦を巻き起こしました。