2030年大会を巡る情報の中には、ネット上で誤解されやすいポイントがいくつか存在します。正確なファクトを把握しておくことが重要です。
第1の誤解は、「南米の3カ国でもグループリーグ全体が開催される」という勘違いです。実際にウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイで開催されるのは「各国1試合ずつの合計3試合のみ」であり、グループリーグの第2戦・第3戦および決勝トーナメントはすべてスペイン、ポルトガル、モロッコの3カ国で行われます。チリは当初の4カ国共催案に含まれていたものの、最終的な決定枠組みから除外されました。
第2の誤解は、自動出場枠に関する点です。「1試合しか開催しない国に自動出場権を与えるのは不公平ではないか」という議論がありましたが、FIFAは公式にウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイの3カ国に対しても開催国としての自動出場枠を付与することを確定させました。これにより、南米サッカー連盟(CONMEBOL)の予選枠(通常6.5枠)から3枠が事前に埋まることになり、残る3.5枠をブラジル、コロンビア、チリ、エクアドルなどが争うという極めて特異な予選構造が生まれます。
そして最大の盲点は、前述した通り「2034年サウジアラビア大会への無血開城」という政治的意図です。FIFAの規程では「直近2大会を開催した大陸連盟は次回大会に立候補できない」と定められています。2030年にUEFA(欧州)、CAF(アフリカ)、CONMEBOL(南米)の3連盟が開催実績を持つ形となったため、2026年(北中米)と合わせて主要連盟が自動的に排除され、2034年の招致権利はアジア(AFC)とオセアニア(OFC)のみに絞られました。結果として、サウジアラビアが競合なしで2034年大会の開催権を手中に収める精緻なシナリオが完成したのです。