都内のIT企業に勤務するサヤカさん(28歳・仮名)の土曜日は、午後1時に始まる。遮光カーテンの隙間から差し込む光で目を覚まし、スマートフォンで時間を確認して、また目を閉じる。結局、ベッドから這い出るのは午後3時過ぎだ。
「以前は、インスタグラムでおしゃれなカフェやグランピングの投稿を見るたび、焦っていました。休日に寝てばかりいる自分はダメ人間なんじゃないかって。でも、平日のプレッシャーを乗り切るには、この『無の時間』が絶対に必要なんです」と彼女は語る。
かつてはアクティブに動くことこそが「充実した休日」の定義だった。しかし、SNSによる「他人のキラキラした日常」の強制視聴に疲弊した人々は今、あえて「何もしないこと」を選択し始めている。それは怠惰ではなく、過剰な情報社会から身を守るための防衛本能に近い。