映画ファンのレビューサイトやSNSの大規模アンケートで常に「コナン映画歴代おすすめ最高傑作」の上位に君臨するのが、2002年公開の第6作『ベイカー街(ストリート)の亡霊』と、2000年公開の第4作『瞳の中の暗殺者』です。近年の100億円超えアクション超大作が席巻する現在でも、なぜこれら初期の作品が圧倒的な評価を獲得し続けているのでしょうか。
その理由は、「極限状態に置かれた人間の心理描写」と「妥協のない本格本格ミステリー構造」にあります。故・野沢尚氏が脚本を担当した『ベイカー街の亡霊』は、仮想体感ゲーム「コクーン」に閉じ込められた50人の命を救うため、19世紀末のロンドンで「切り裂きジャック」を追うという二重構造のプロットを採用しました。そこには日本の世襲制や教育問題に対する痛烈な社会批評が込められており、大人の鑑賞に耐えうる知的な強度を備えていました。
一方の『瞳の中の暗殺者』は、ヒロイン・毛利蘭の記憶喪失という極限のドラマを軸に、警察関係者が次々と狙撃される緊迫感あふれる本格サスペンスを展開。「記憶を失っても、新一への想いは消えないのか」というエモーショナルな純愛要素と、遊園地トロピカルランドを舞台にした息詰まるクライマックスが見事なカタルシスを生み出しました。
映画ライターや熱心なファンによる分析では、「初期作品は謎解きのロジックと登場人物の心の傷が丁寧に結びついており、何年経っても色褪せない深みがある」と高く評価されています。派手なCGや爆破演出に頼らずとも、心理戦と脚本の密度で観客を圧倒できることが、歴代名作たる所以です。