今日でこそ全国的な観光地として親しまれる花見山公園ですが、もともとは観光用に造られた公立公園ではありません。そのルーツは、地元の花木農家である阿部一郎氏とその一家が、昭和初期から蚕の餌となる桑畑を開墾し、花木の栽培を始めたことに端を発します。
過酷な山肌を切り拓き、花木を出荷しながら少しずつ美しい樹木を植え足していった阿部家。「この美しい風景を独り占めするのではなく、広く皆様に楽しんでいただきたい」という無私の精神から、1959年(昭和34年)に私有地を無料開放したのが公園の始まりです。
阿部家の善意と周辺農家の協力によって守られてきた山里の景観は、訪れる人々に深い感動を与え、いつしか「福島に桃源郷あり」と称されるようになりました。現在も地域住民の手によって草刈りや清掃が行われており、訪れる際も私有地を拝見しているという感謝の気持ちを忘れてはなりません。