ネット上の古い情報や独自の判断によるアース接続の中には、法律違反や重大事故に直結する危険な誤解が多数混在しています。
1. 水道管・ガス管への接続は絶対にNG
かつて昭和の時代には「アースは水道管に巻き付ければ良い」と言われた時期がありました。しかし、現在の水道配管は絶縁性の高い塩化ビニール管や架橋ポリエチレン管が主流となっており、地面に電気が逃げないためアースとして全く機能しません。さらに、金属管であっても漏電電流によって配管の電食(腐食)を引き起こし、漏水事故を誘発します。
また、ガス管へのアース接続は消防法および内線規程で厳格に禁止されています。漏電時の火花によって都市ガスやプロパンガスに引火し、大規模な爆発火災を引き起こす危険性があります。同様に、落雷のエネルギーを呼び込むリスクがある「避雷針の接地線」や、通信ノイズ障害の原因となる「電話専用アース」への共締めも絶対に行ってはなりません。
2. DIYでできる範囲と電気工事士資格の境界線
コンセントのアース端子にアース線をネジ止めしたり差し込んだりする行為、およびアース線同士を延長する作業は、誰でも無資格で行えます。しかし、「壁のコンセント本体をアース付きに交換する」「壁の中にアース線を通す」「分電盤を触る」「屋外にアース棒を打ち込んで屋内に引き込む」作業は、電気工事士法により有資格者以外の施工が禁止されています。無資格での屋内配線工事は法律違反となり、火災発生時に火災保険が適用されない重大なリスクを背負うことになります。
【プロの結論】自分で対処できるケースとプロに依頼すべき判断基準
アース線の取り扱いにおいて、DIYで完結させるべきか、専門業者へ依頼すべきかの明確なボーダーラインは以下の通りです。
【自分で対処できるケース】
・コンセントパネルにすでにアース端子(ネジ式/差し込み式)が存在している
・アース線の長さが足りず、市販のコードとコネクターを用いて延長する
・電子レンジとトースターなど、2本のコードを1箇所の既存端子へまとめる
・工事ができない環境で、プラグ形漏電遮断器を導入して安全を担保する
【電気工事店・プロに依頼すべきケース】
・部屋全体を見渡してもアース端子付きコンセントが一切存在しない(持ち家の場合)
・アース端子はあるが、テスターで測定しても接地が取れていない(未結線の疑い)
・200VのIHクッキングヒーターや大型エアコン用コンセントの接地工事を行う
・屋外にアース棒を新規で地中深く打ち込み、規定の接地抵抗値(100Ω以下)を確保する