ネット検索やSNS上で関心を集める「Aの会」ですが、その実態は単なる趣味のサークルや一般的なビジネススクールとは大きくかけ離れています。報道関係者の取材や被害対策弁護団への相談記録によると、同会は「経済的自由」や「本当の自己実現」を掲げた会員制ネットワーク組織として機能しています。
表層部分では、カフェ会、読書会、フットサル、ボードゲームイベントといったごく一般的なカジュアルイベントを主催しています。しかし、その真の目的は、参加者の中から組織の思想に共鳴しやすく、金銭を拠出できる見込み客をスクリーニングすることにあります。外部に向けた公式情報が極めて少なく、イベントの目的や運営主体の詳細が伏せられている点こそが、外部から「正体不明で怪しい」と断じられる最大の要因です。
取材に応じた元会員のAさん(20代女性・会社員)は、当時の体験を次のように述懐しています。
「最初は親切な先輩に誘われたキャリア相談のつもりでした。『あなたの可能性はこんなものじゃない』『現状を変えたいなら環境を変えるべきだ』と熱心に説かれ、気がつけば毎週末のセミナー参加が義務のようになっていました。周囲が全員同じ目標を熱狂的に語る空間にいると、違和感を覚える自分のほうがおかしいと思い込まされてしまうのです」