ネット上の言説で頻繁に見受けられるのが、「アジアの出場枠が8.5枠になったのだから、日本代表のW杯出場は確実であり緊張感がない」という楽観論です。しかし、現場のデータと対戦国の戦力動向を分析すると、この認識には決定的な落とし穴が存在します。
第一に、「対戦国の帰化選手急増による急激な戦力底上げ」です。特にインドネシア代表は、旧宗主国であるオランダのトップリーグでプレーする血統選手を十数名規模で帰化させるプロジェクトを完遂させ、従来の東南アジア勢とは全く異なるフィジカルと組織力を構築しました。中東勢(サウジアラビア、バーレーン等)も潤沢な国家予算を投じた長期合宿や欧州名将の招聘を行っており、予選の地力差は紙一重です。
第二に、「アウェイ特有のレフェリングとピッチ環境の罠」です。アジア特有のアディショナルタイムの極端な長さ、中東特有の重い芝、過酷な高温多湿、そして判定基準の揺らぎなど、欧州基準では測れない不確定要素が常に日本を脅かします。「枠が増えたから楽になった」のではなく、「枠が増えたことで他国が死に物狂いで勝利を強奪しに来る熾烈な戦場と化した」というのが、記者席から見た過酷な現実です。