館内のインタラクティブ展示ゾーンに足を踏み入れると、最先端の音響システムと超高精細プロジェクションが織りなす幻想的な空間が広がる。文字を持たなかったアイヌの人々が代々口承で伝えてきた長編叙事詩「ユーカラ」。かつてはおばあちゃんの膝元でしか聴けなかったその語りが、AIによる音声解析と没入型映像によって、時空を超えて観客の脳裏に直接訴えかけてくる。
絶滅の危機に瀕していたアイヌ語の復興においても、デジタルの力は絶大な効果を発揮している。若い世代がスマートフォンやタブレットを手に、ゲーム感覚でアイヌ語の単語や文法を学べるアプリが館内限定で配信され、大人気を博している。過去の保存にとどまらず、新しい文化の創造へ。デジタル技術は、伝統を断絶から救い出す強力な武器として機能していた。