歴史的な価値もさることながら、館山城が誇る最大の魅力の一つはそのロケーションだ。別名「鏡ヶ浦」と呼ばれる波静かな館山湾を一望する山頂からの眺望は、一筆の絵画のような美しさを誇る。とりわけ空気が澄み渡る冬から春にかけては、雪を抱いた富士山が海越しにくっきりと浮かび上がり、夕刻には茜色に染まる絶景が広がる。
城山公園はまた、房総有数の花の名所でもある。春には約500本のソメイヨシノが咲き誇り、城郭を桜色の帯で包み込む。初夏にはツツジやアジサイが山肌を彩り、秋には紅葉が目を楽しませる。山頂までの緩やかな遊歩道を散策しながら季節の移ろいを感じる時間は、都会の喧騒を忘れさせる特別なものだ。