東京・京橋から銀座にかけてのエリアは、映画会社の本社や配給事業者が集積する日本映画の心臓部として発展してきた。その中心に位置していたテアトル系の試写室は、監督、プロデューサー、映画ライター、バイヤーたちが一堂に会する高密度の情報交換基地でもあった。封切り前の試写会で流れる独特の緊張感。上映終了直後の静寂。そしてロビーで沸き起こる熱を帯びた議論。ここでの評価が作品の運命を左右することも珍しくなかった。
特に座席の配置やスクリーンとの距離感、外部の騒音を完全に遮断する防音構造は、作品本来のポテンシャルを100%引き出すために緻密に設計されていた。長時間の鑑賞でも集中力を削がないシートのクオリティや、映画の世界に没入できる照明設計など、ハード面での妥協なきこだわりも、百戦錬磨の映画業界人から絶大な信頼を集めた理由だ。