なぜ涙は「睡眠中」に作られ、目覚めの瞬間に溢れ出るのか。そのメカニズムの鍵を握るのがレム睡眠だ。レム睡眠中、脳の感情を司る「扁桃体」は活発に活動している一方で、ストレスホルモンであるノルアドレナリンの分泌は極限まで低下する。つまり、脳は安全な環境下で日中の恐怖や不快な記憶を再処理し、感情の毒抜きを行っているのだ。
最新の睡眠脳波研究によれば、脳内の情報整理がオーバーフローを起こした際、脳は視床下部を経由して涙腺を刺激し、副交感神経を優位に導こうとする自動防衛反応を作動させる。涙にはストレス物質であるコルチゾールが含まれていることが知られており、脳は物理的に涙を外に排出することで、潰れかけた自律神経のバランスを必死に保とうとしているのである。