おしゃれな料理本を買ったものの、「バルサミコ酢」や「ナンプラー」などの調味料を一度使ったきり冷蔵庫の奥で眠らせてしまった経験は誰にでもあるはずだ。山本ゆりのスタイルの本質は、そうした「料理本の罠」を徹底的に排除している点にある。
醤油、みりん、酒、砂糖、マヨネーズ、めんつゆ。日本中のどの家庭の冷蔵庫にも必ず入っている基本の調味料だけで、誰もが唸る絶品メニューを作り出す。特別な食材や珍しいスパイスに頼らず、ありふれた素材の組み合わせで最高の引き算を行うセンスこそ、彼女が「天才」と称される所以である。