そもそも、この独特なスタイルのルーツは福岡県糸島市や佐賀県太良町といった有明海・玄界灘沿岸エリアにある。漁師たちが水揚げしたばかりの牡蠣を、港の脇に建てた簡易小屋で作業着のまま炭火で焼いて食べたのが始まりだ。自分たちの手で殻を開け、シンプルにポン酢やレモンを回しかけて頬張る――その圧倒的な鮮度と無骨なライブ感が口コミで評判を呼び、週末には何時間も行列ができる地域の名物となった。
その熱狂は次第に西日本から全国へと波及した。宮城県の松島や広島県の宮島周辺、三重県の鳥羽といった牡蠣の世界的名産地でも、従来の観光旅館での会席料理とは異なる「浜焼きスタイル」が定着。今や冬の行楽シーズンを象徴する一大マーケットとして認知されるに至った。