「今夜何食べたい?」「何でもいいよ」。この会話の後に漂う重苦しい空気は、どこの家庭でも一度は経験があるはずだ。認知心理学の観点から見ると、人間が1日に下せる意味のある決断の回数には限界がある。朝起きて着る服を選び、仕事で無数の判断を下し、疲弊し切った夕方に訪れる「夕食のメニュー決定」は、脳にとって最後の一撃になり得るのだ。
特に近年は、SNSや動画プラットフォームで映える料理の情報が氾濫し、「手軽かつ見栄えが良く、体に良いものを作らなければならない」という無意識のプレッシャーが増幅されている。完璧主義という名の呪縛が、料理にとりかかる前の意思決定を著しく遅らせているのだ。