技術がどれほど進化しても、時に速報値の震源地が実際の場所からずれたり、全く別の場所で同時に発生した2つの地震を1つの巨大な地震と誤認したりするケース(いわゆる「震源錯乱」)はゼロにはならない。2016年の熊本地震や2026年の能登半島地震のように、短時間に多数の余震が相次ぐ群発地震や多重破壊においては、先行する地震の波形データに次の地震の波形が重なるため、AIでも判定の難易度が飛躍的に跳ね上がる。
気象庁はこの問題に対し、観測データの異常値をリアルタイムで排除するフィルタリング技術や、複数の仮説演算を同時並行で行うマルチアンサンブル予測を導入した。速報が出された数秒後に「震源地の再計算値」が次々と上書き更新されるのは、システムがバックグラウンドで常に精度の高い最適解を探し続けている証拠でもある。