1990年代半ば、T-BOLANはヒットチャートのトップを走り続けていた。しかしその裏で、異変は静かに、そして決定的に進行していた。歌おうとしても声が出ない。思い通りの音程や声量が保てない。原因は「心因性発声障害」という、精神的な負荷が身体的症状となって表れる難病だった。
「歌えない自分には価値がないのではないか」。そう問い詰める日々が続いた。医師からの診断、幾度となく繰り返されたリハビリ、そして届かない焦燥感。1999年のバンド解散以降、彼は音楽の表舞台から完全に姿を消すことになる。日常会話すら困難を極める中で、彼が抱え続けた孤独と絶望は、察するに余りある。