蒲田を語る上で、昭和の高度経済成長期から時を止めたような純喫茶の存在を外すことはできない。だが、いま注目されているのは単なる「ノスタルジー消費」ではない。若い世代の店主が受け継ぎ、現代的な解釈を加えてアップデートした「進化形レトロカフェ」が脚光を浴びている。
西口のアーケードを少し外れた場所に位置する老舗喫茶の幾つかは、創業当時のネルドリップ抽出法を固持しながらも、提供するトーストのパンを地元の人気ベーカリーから毎朝仕入れるなど、質のアップデートを怠らない。あえて琥珀色の照明やネルシャツのマスターという世界観を残しつつ、ヴィンテージの音響設備から流れるアンビエントミュージックが空間を満たす。この妙味に、近隣のクリエイターたちが足繁く通う。