数年前まで民間のエステサロンやセルフエステ店などで安価に提供されていたハイフですが、現在は法的な位置付けが完全に刷新されています。発端となったのは、エステ店での無資格者による照射で「急性顔面神経麻痺」「重度の皮膚熱傷」「不可逆的な視力障害」といった重大な事故が多発したことです。独立行政法人国民生活センターには数百件規模の深刻な被害相談が寄せられ、消費者安全調査委員会(消費者事故調)による詳細な事故調査が行われました。
これを受け、厚生労働省医政局は「医師免許を有しない者が行う高密度焦点式超音波(HIFU)を用いた施術について」とする通知を発出し、人体の深層組織に熱損傷を与えるハイフ行為は医師法第17条に規定される「医行為」に該当すると断定。医師免許を持たないエステティシャンや無資格者がハイフ機器を操作・照射することは明確な法令違反(無資格医行為)として摘発対象となりました。
顔面には表情筋を動かす顔面神経の主要な枝が網の目のように走行しており、皮下脂肪の厚みや筋膜の深さは人によって数ミリ単位で異なります。解剖学的な知識を持たない無資格者が強力なエネルギーを照射すれば、神経を直接熱凝固させてしまい口角が上がらなくなったり、皮膚表面に水疱や瘢痕を残したりする危険が極めて高いのが禁止の決定的な理由です。