なぜ新規上場株は投資家の間で「儲かる」と語り継がれてきたのか。その本質は、上場前に株式を買い付ける「公開価格(公募価格)」の算出ロジックに潜む構造的なディスカウントにあります。
公募価格決定の経緯を紐解くと、まず引受主幹事証券が発行企業と協議の上、類似上場企業の株価収益率(PER)などを参照して理論上の企業価値を試算します。しかし、未公開株には上場株のような流動性がなく、上場初日に売り出し株が市場に消化されないリスク(売れ残りリスク)を証券会社が負うことになります。そのため、理論株価から通常20%から30%程度のディスカウント(アンダープライシング)を適用した「仮条件」が提示されます。
その後、機関投資家や個人投資家からの需要申告(ブックビルディング)を集計し、大半の需要が上限価格に集中することで公開価格が正式決定されます。つまり、新規上場株はそもそも市場価格よりも「割安」なディスカウント価格で売り出される前提があるため、需給バランスが買いに傾きやすく、初値が高騰する確率が極めて高くなるというカラクリです。
アナリストによる新規上場銘柄の初値予想を検証すると、市場からの調達額(吸収金額)が数十億円規模と小さく、なおかつ時代のトレンドに合致したテーマ性を持つ企業ほど、初値倍率が公募価格の2倍から3倍に達する事例が確認されています。この「公開価格の構造的歪み」こそが、投資家を惹きつける最大の源泉です。