武道館の客席を見渡せば、時代の変化は一目瞭然だ。かつて白装束や喪服に身を包み、涙を流しながら夫や父の遺影を抱えていた妻や子供世代の姿は、いまや数えるほどしかない。現在、遺族代表として参列する人々の中心は、孫やひ孫といった「戦後生まれ」の世代へ完全にシフトした。
参列遺族の平均年齢はすでに80歳を超えている。戦没者の妻で存命の者は全国でもごくわずかとなり、直接の戦争体験を持たない世代が式の主体を担う時代が到来した。胸に参列章をつけたひ孫世代の若者は、「会ったこともない曾祖父の死」と向き合いながら、自らの言葉で平和への思いを紡ぎ始めている。