歴史を少し巻き戻そう。この庭は2008年に放送された名作ドラマの舞台として誕生した。死を目前にした一人の医師が、故郷である富良野の風と花々に抱かれながら家族との絆を取り戻していく物語。脚本家・倉本聰氏が作中に込めた「人間もまた自然の一部に過ぎない」という思想は、20年の歳月を経てなお、この土壌にしみ渡っている。
ドラマの放映終了後、多くのロケ地が時間の経過とともに打ち捨てられていく中で、ここだけが例外的な生命力を保ち続けてきた。それは単なる映像の背景ではなく、最初から「生きた作品」として土から設計されたからに他ならない。