清澄白河のバーテンダーたちが今、熱い視線を注いでいるのが、江戸時代からこの地域に根付く「発酵」や「和の食材」の文脈だ。みりん、酒粕、国産の柚子や山椒、さらには下町の味噌蔵から着想を得た自家製インフュージョン(浸漬酒)がカウンターの主役に躍り出ている。
化学実験室さながらの真空抽出機や減圧蒸留器を駆使し、素材の持つ香りの分子を抽出。そこに伝統的な発酵調味料の旨味を隠し味として忍ばせる。一口含めば、爽やかなハーブの後に訪れる奥深いコクに驚かされるはずだ。下町の歴史的文脈をグラスの中で再構築する試みが、感度の高い飲み手を惹きつけて止まない。