移住促進施策は全国どこでも行われている。だが、この町のアプローチは一線を画す。行政主導の型にはまった支援金支給ではなく、「地域の課題そのものを起業の機会として開放する」スタイルだ。
2026年、若手起業家やクリエイターがこぞってこの地に拠点を構える理由は、町全体がひとつの「実証実験場」として機能している点にある。空き家となった歴史ある商家や農家は、デジタルノマド向けのハイブリッドワークスペースや、環境配慮型のプロトタイピングスタジオへと再生された。
単なるスローライフの追求ではない。都市部のスタートアップと地元の伝統事業者が手を取り合い、気候変動対策や循環型ビジネスのプロトタイプを日々テストしている。結果として、20代から40代の生産年齢人口の転入が転出を上回る「社会増」が定着。若者が若者を呼ぶエコシステムが完全に自走し始めている。