横丁の角に店を構える「芋飴本舗」の3代目、高橋氏(42)は、炭火の前で汗を拭いながら手際よく芋スイーツを焼き上げていく。彼の隣に昨年オープンしたのは、ロンドン帰りのブルワーが手掛けるクラフトビール専門店だ。「最初は古参の店主たちから困惑の声もあった」と高橋氏は苦笑する。しかし、クラフトビールと焼き芋の意外なペアリングが若者の間で爆発的なヒットを記録すると、空気は一変した。
伝統は固執するものではなく、更新し続けるもの。そんな共通認識が、この短い路地裏に集う店主たちの間に自然と共有されている。100年続く漬物屋の裏手で、スパイスを効かせた新しい江戸前ディップが提供される。新旧のアイディアが衝突し、未知の美味が生まれる現場。それが現在の横丁の日常だ。