社会心理学の専門家は、このトレンドを「長年日本社会を縛ってきた強固なジェンダー規範の崩壊プロセス」と分析する。これまで日本社会では、男性には「男らしさ」、女性には「女性らしさ」という厳格な役割期待が存在した。中年期に差し掛かった女性が「おじさん化」するのは、そうした性別役割から脱却し、ひとつの人間として最も生きやすい状態を模索した結果なのだという。
「おじさん的」とされる行動——例えば、見栄を張らないこと、自分の快不快に正直であること、集団の空気を読みすぎないこと——は、本質的には性別に関係なく、成熟した人間が獲得する省エネな生き方の技術に過ぎない。女性たちがそれを隠さなくなったという事実は、日本社会が多様な生き方を許容し始めた証左とも言えるだろう。