炭火は生き物だ。その日の気温、湿度、風の流れによって表情を変える。その気まぐれな熱源を完璧にコントロールし、鶏肉の潜在能力を極限まで引き出すのが、厳しい社内検定を突破した者だけに与えられる「焼師(やきし)」の称号だ。
単に肉を焼くのではない。炭の爆ぜる音に耳を澄ませ、串を手にする指先の感覚で火の通りを測る。この感覚の研ぎ澄まし方こそ、AIや最新調理器具がどれほど進化しようとも決して代替できない職人の領域だ。1本1本の串に宿る熱いソウルと静かな美学。カウンター越しに繰り広げられるその無駄のない動作は、まさに一回性のライブパフォーマンスである。