「この肉は、熱を通しても硬くならず、代わりに圧倒的な弾力となって押し返してくる」
名古屋市内のモダンフレンチレストランでシェフを務める人物はそう語る。これまでフレンチの世界で高級食材とされてきたブレス鶏(Poulet de Bresse)と比べても、そのポテンシャルは決して引けを取らない。スープに抽出される旨味の濃度に至っては、むしろ凌駕していると評価するシェフも少なくない。
皮下に蓄えられた黄色みを帯びた上質な脂は、融点が低く口の中でフワリと溶ける。身の引き締まった赤身部分にはイノシン酸が凝縮されており、極限までシンプルな調理法でも圧倒的なごちそうへと昇華するのだ。炭火の直火でじっくりと炙っただけのシンプルな焼鳥ですら、一流のワインディナーの主役を張るだけの気品を漂わせている。