彼の名を一躍世界に知らしめたのは、情熱の島国キューバでの長期取材だった。無名のミュージシャンたちが魅せる圧倒的なグルーヴと、貧しくもたくましく生きる人々の姿。その情景を収めた作品は、単なる音楽ドキュメンタリーを超え、ひとつの泥臭い人間賛歌として国際的に評価された。
東京に戻った後も、彼の探求心が衰えることはない。都市の夜の闇、ライブハウスの爆音と楽屋裏の沈黙、消えゆく昭和の面影を残す路地裏。音楽が脈打つ場所には、常に彼の鋭い眼差しがあった。音と映像が重なり合う瞬間の快楽を、彼は身体感覚として知っている。