日本の警察ドラマにおける「公安」といえば、陰険で冷徹、あるいは影に潜んで目的を遂行する黒衣のような描かれ方が一般的だった。しかし、野崎守はそのステレオタイプを真っ向から粉砕した。豪快で人間味にあふれ、時には強引な手口で修羅場を潜り抜ける。それでいて頭脳は切れ味鋭く、一瞬の隙も見逃さない。
この絶妙なバランスこそが、観客を惹きつけて離さなかった最大の要因だ。彼の一挙一動には常に「何か裏があるのではないか」という緊張感が漂っていた。正義の味方としての頼もしさと、いつ牙を剥くかわからない危うさ。この二面性が、野崎というキャラクターを単なる記号的な英雄から、生々しいリアリティを持つ人間へと昇華させたのだ。