日本の旅行者にとって、アルプスへの旅はハードルが一段と高くなった。円安の長期化とスイス国内の物価高騰が重なり、現地での宿泊費や交通費は数年前の1.5倍から2倍近くに跳ね上がっている。
一食のランチが数千円を超えるのは日常茶飯事だ。その影響か、短期間で観光地を駆け足で巡るツアー客は激減した。代わりに増えているのが、1箇所に長期滞在して自炊しながらハイキングを楽しむ「暮らすような旅」の実践者たちだ。無駄な移動を減らし、地域のスーパーで地元のチーズやパンを買い求め、静かな山並みをじっくり味わう。厳しさを増す経済環境が、旅の原点回帰を促している。