激しい「突き当て」に注目が集まりがちですが、山笠そのものが魅せる造形美の変遷も見逃せない大きな特徴です。苅田山笠は、昼と夜でまったく異なる二つの表情を持っています。
昼間の運行では、豪華絢爛な刺繍幕や武者絵、色鮮やかな旗指物で飾られた「幟山(のぼりやま)」として街を練り歩きます。秋晴れの青空に映える高さ十数メートルの優雅な立ち姿は、古き良き日本の絵巻物を思わせる美しさです。
夕刻を迎えると、男衆の手によって素早く幟が解体され、ピラミッド状に組まれた木枠に百数十個もの提灯が取り付けられます。これが夜の姿である「灯山(ひやま)」です。漆黒の夜空に浮かび上がる光のピラミッドが揺らめきながら進む光景は極めて幻想的で、昼の剛胆さとは対照的な幽玄の世界へと見る者を誘います。